
出版社:文芸社 著者:大野靖志 定価:1,680円

●プロローグ― 言霊によって現実を変える具体的な方法を初公開 ― どうして日本語は美しいのか? ― 言霊(ことだま)は「単なる迷信」ではない ― 西洋的価値観は私たちを幸せにしたか ― 日本― 新しい文明のパラダイムを提示しうる国 ― いにしえの叡智を今に伝える言霊学と伯家神道 ― 階層性と統合性によって知識を整理する ― 本書の使命とその方法論
伯家神道の秘儀継承者・七沢賢治が明かす神話と最先端科学の世界
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2012年には何が起きるか
言霊学と伯家神道はこの時代においてどのような新しいパラダイムを提示し、具体的には何をなしうるのか?
七沢氏は、2012年から2014年にかけてパラダイムが大転換し、その後、50年から100年ほどをかけて細かいところを修正していくことになる、と述べていたが、これは奇しくも、マヤ暦における約5125年周期の長期暦の終わりの時にも重なる。
そのときに、アセンション(次元上昇)という出来事が起きると主張する者や、人類滅亡の危機が起こると言う者などもおり、いずれにせよ、何か大きな変化が起きつつあることを肌で感じる人々が多いように思われる。
また、伯家神道の「祝(はふり)の神事」を欠く御世(みよ)が100年続くと日本の国が滅ぶ、という予言が言い伝えられているともいわれる。それがちょうど2012年にあたるとして一部で話題になっているようだ。
このことについて七沢氏は次のように述べる。
「伯家神道には予言のようなものは一切なく、そのような話を高濱先生から聞いたこともありません。そもそも、『中今』という表現に見られるように、伯家神道には時間の概念がなく、永遠の今があるだけです。そこに終末観はなく、私自身も終末の到来などは信じていません」
ただし、2012年に意識の急速な拡大が多くの人に起きてくる、とも七沢氏は言う。その拡大とは具体的にどういったものなのか?
「(第4章で紹介した)構文の五階層とは、自己と他者との関係を客観的に捉えるものでした。そして、私たちはそれと同じやり方で、自己と地域社会、自己と自然環境、自己と地球との関係を客観的に見ていくことができます。そのように、客観視の対象が広がっていくと、やがて普遍的な原理が見えてくるでしょう。これが私の言う『意識の拡大』です」
七沢氏によると、そのような意識の拡大における客観視の対象は宇宙にまで及ぶという。
今後、ミクロの世界においては、遺伝子の97パーセントを占めるジャンクDNAの謎が明かされるであろう。そして、それによって人類は必然的に、自己と宇宙との関係について客観的な認識を迫られるというのだ。
さらには、この世界を裏から動かしている権力構造の暴露など、これまで隠されてきた情報が明かされることにもなるという。
そのような流れは、人類の意識の拡大と呼応し合う形で加速していくが、そのときに、重要な働きをなすのが日本だ。
どうやって日本はその重責を果たすのか。
第一のヒントは、西洋文明の精神史において中核的な働きをなしてきた一神教の多くが終末観を持つことにある。
一神教においては善と悪の対立概念が教義の中心となっており、その考え方は一神教の下に育まれた現代科学や西洋医学にも受け継がれている。
がん治療でたとえるなら、自然治癒力を高めて対処しようとする東洋医学に対し、西洋医学では、手術による切除のほか、放射線や抗がん剤によって病巣を徹底的に叩くといった対立姿勢の治療を行うのが一般的である。これを人間の世界に当てはめると、「覇道(はどう)」となるだろう。宗教戦争の多くを一神教が引き起こしているのも納得のいく話だ。
一神教の終末観は、神に対立する「悪」を打ち倒す戦いを示唆するものであると同時に、神に近づかんとする人間に対する鉄槌(てっつい)でもある。
その教えでは、唯一絶対の神がすべてを創造するのであり、人は神によって作られた被造物(ひぞうぶつ)でしかない。そのため、人間による文明が進化して神の創造の領域へ近づいていくと、その文明そのものを崩壊させないことには、つじつまが合わなくなってしまう。
一神教が終末観を持つのはそういった教義的な必然性ゆえのこと。ここで問題となるのが、一神教の影響下にある西洋の国々が大きな政治的・軍事的パワーを持っていることである。彼らは、人類を滅亡させるのに十分な核兵器を保持しているのだ。
この状況において一筋の光明となりうるのが、本来の日本的な精神である。
日本には古来、「ことむけやはす」「しろしめす」といった考え方がある。これは、できるだけ現実に沿っていくという生き方であり、一神教的な対立姿勢とは正反対のあり方だといえよう。
また、日本古来の霊的・知的資源の精髄ともいえる伯家神道では、一人一人が神として自らの宇宙を創造していると説かれており、それは修行によって誰もが体感できるという。これは一神教の価値観から大きくかけ離れたものであり、神と人が対立することもないため、文明を崩壊させる必要もなくなる。つまり、一神教的な終末観に対する、ある種の解毒剤となりうるのだ。
第二のヒントは、一神教的な終末観に影響を受けた西欧のSF映画の中に隠されている。それら映画の多くは機械が人を支配する世界を描いているが、これは人間のコントロール外のところで事態が進んでいき破滅へ向かうということを象徴している。
七沢氏によると、このような終末イメージが根付いているのは、人の意識や主体性が客観的に確立されていないことに原因があるという。
「それを確立してきたのが日本人―日本語を話す民族です。戦後の日本が高度経済成長を果たせたのは、モノ作りにおいて『誰が使っても、いいと思えるモノ』を作ることができたからでしょう。つまり、日本人は客観性のあるモノ作りができるのです。そのような客観性を深めれば、それは絶対的な論理となり、絶対的な論理はいわば神のような存在となります。日本は世界にそのことを提示できるのです」
七沢氏は、日本以上に、自然科学を基礎にした発想を国民が平均的に受け入れている国はほかにないという。そして、その客観性によって培われた科学技術は今後、主に環境分野などで世界に貢献することになると予測する。
そのような日本人の客観性はどこに由来しているのか。
伯家神道に伝わる天皇の行「御鏡御拝(み かがみ ぎょ はい)」では、天皇は鏡に映った自分自身を礼拝する。これは自分を客観視する方法であると同時に、日本人の特性を示すものであるといえよう。日本人は客観性のある文明を築き上げ、近代においては客観性のある科学を発達させてきた。そして今、その特性が人類意識の拡大に役立つときがきているようである。
つまり、完全に行き詰まってしまった西洋文明と、「神秘」と「王道」が息づく本来の東洋文明の精神とを融合し、新しい文明を生み出すために、その客観性が求められるのである。
「そのときに五階層の構文の要領で物事を考えることが重要になってきます。もちろん、そのためのトレーニングは必要ですし、間違うこともあるでしょう。しかし、間違いつつも階層的に客観視を進めることで、絶対論理へと近づいていけます」
2008年秋に起きた世界金融危機は、客観的な実体のないマネーゲームが招いたものであった。そのような経済活動を見直すためにも、私たち日本人が率先して客観性の対象を広げ、普遍的原理や絶対論理へと意識を拡大していく必要がある。
―それが七沢氏のメッセージである。