
出版社:文芸社 著者:大野靖志 定価:1,680円

●プロローグ― 言霊によって現実を変える具体的な方法を初公開 ― どうして日本語は美しいのか? ― 言霊(ことだま)は「単なる迷信」ではない ― 西洋的価値観は私たちを幸せにしたか ― 日本― 新しい文明のパラダイムを提示しうる国 ― いにしえの叡智を今に伝える言霊学と伯家神道 ― 階層性と統合性によって知識を整理する ― 本書の使命とその方法論
伯家神道の秘儀継承者・七沢賢治が明かす神話と最先端科学の世界
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五十音は何を表しているか
明治時代以降に日本語のローマ字表記が始まったことが一つの刺激となり、言霊学における五十音の体系的な理解が推し進められることになった。
ローマ字表記では日本語の一音を子音と母音の組み合わせで表すが、言霊学では父韻(ふいん)と母音の組み合わせが子音を生むと考える。そこでいわれる「父韻」とは、一般にいう子音であり、「子音」とは一般にいう子音と母音の組み合わせによって生まれる五十音の各音のことを指す。つまり、結果的にはローマ字の考え方と同じことを言っているのであり、この両者の説明に根本的な違いはない。
言霊学では、どうしてそのような用語の言い換えがなされたのか?
七沢氏はこう説明する。
「父と母が結婚することで子ができるというのが有性生殖(ゆうせいせいしょく)の基本ですから、その意味で、言霊学では父韻と母音が子音を生み出すという考え方をします。これは一見すると、ローマ字に触発されて生まれてきた概念であるように思えますが、そうではなく、ローマ字が入ってくるまで封印された概念であるとも考えられます」
そう、言霊学は言葉を大切に扱う学問であるからこそ、「子音」ではなく「父韻」でなければならなかったのだ(詳しくは後述)。
では、五十音の意味について言霊学はどう答えるのか?
言霊学では、五つの母音「アオウエイ」を自己の心の五階層の働きを表すものとし、五つの半母音「ワヲウヱヰ」をその心を伝える相手の心の働きを表すと説く。「アオウエイ」は主体・主観を表し、「ワヲウヱヰ」は客体・客観を表すといってもいいだろう(ここも詳しくは後述)。
そして、八つの父韻「チキミヒリニイシ(TKMHRNYS)」は相手に心を伝える際の理想的な心の働きを表し、残り三十二の子音は、母音・半母音と父韻との組み合わせによって生じる現象を表していると考える。
つまり、五十音には理想的な心のあり方や他者との接し方が、ある種の行動規範として組み込まれているというのが言霊学における理解である。
加えて、その五十音がそのまま古層和語圏へ地続きとなっていることはいうまでもない。
五十音を考えることは、古代の日本文化、精神性、祭祀などに触れていくことに等しく、それは同時に、1万年を超えて今に残されたユーラシア大陸全域の叡智のデータベースにアクセスすることにもつながってくるのだ。
もちろん、ほかの言語であっても、それがある種のデータベースであることにはちがいない。だが、日本語にはほかの言語にない有利な特長があるという。
「アルファベットは26文字ですが、日本語は五十音であり、しかもその一音ごとに複数の意味が備わっています。そのため、より客観的に、より多くの情報を扱えるという点で、日本語は最も進化した言語であるといえるでしょう」
さらに七沢氏は、五十音から母音を除き、「ん」を加えた四十六音についても独自の見解を持つ。
「四十六という数が染色体の23対(つい)の倍の数と一致しているという事実は大変興味深いものです。私はこのことから、小笠原先生がよく『染色体の振動を増幅したら、きっと五十音になる』とおっしゃっていたことを思い出します。そして、日本語には染色体を構成するDNAに働きかける言語エネルギーのようなものが備わっているのではないかとも考えています」
七沢氏による、言語エネルギーの応用に関する研究成果は後の章でご紹介することにして、ここでは言霊学の深奥(しんおう)へとさらに歩みを進めることにしよう。