出版社:文芸社 著者:大野靖志 定価:1,680円
●プロローグ― 言霊によって現実を変える具体的な方法を初公開 ― どうして日本語は美しいのか? ― 言霊(ことだま)は「単なる迷信」ではない ― 西洋的価値観は私たちを幸せにしたか ― 日本― 新しい文明のパラダイムを提示しうる国 ― いにしえの叡智を今に伝える言霊学と伯家神道 ― 階層性と統合性によって知識を整理する ― 本書の使命とその方法論
伯家神道の秘儀継承者・七沢賢治が明かす神話と最先端科学の世界
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言霊・神道を科学で解き明かせるか?
新しい時代のパラダイムに基づいて、自らを取り巻く現実を創造しようとするとき、『古事記』の多元的理解という考え方がある。世界各地の文化的資源をオリジナルに近い形で蓄積・保存してきた日本語や神道に関しても同じことがいえるだろう。
現在、七沢氏は、次のような理念に基づいて、科学の方向から日本語や神道を理解しようという試みを行っている。
「科学的であるということを考えるとき、たとえ自然科学的に証明が不十分であったとしても、人文・社会科学的な概念に新たな視野が立ち現れればいいのではないでしょうか?それが私のいう現実化ということです。科学では主に左脳(さのう)を使い、宗教では主に右脳(うのう)の働きに傾く。そうなってしまうと、まんべんなく左右両方の脳を使ったときに、自己の全存在が感動でどれほど打ち震えるかということを知ることがないのです。その体験は、言葉が自己と結びついたときの喜びだといえるでしょう。
学んだことを役立てられないのは、その学んだこと(概念)が自分の中で改めてトレースされ、体感的な喜びを伴って自己と結びつけられていないからです。だから、体感的に一体化できず、実用的に役立てることもできないのです。
ある意味では、どのような知識であれ幻想のようなものです。ですから、実践的にそれを捉えて、肝心なときに使えればそれでいいと考えています。科学や哲学に対する私のスタンスはそのような感じです。特定の目的や前提条件がある場合に、それに合う形で知識を収集して実利的に自己の哲学と方法論を形成すればいいのです。そして、それはある程度までは恣意(しい)的な解釈で押し切らないとなしえません」
七沢氏はさらに、各自がそれぞれの宇宙論を書くことを提案する。
「近代における個の確立というテーマは『主体の確立』と言い換えられます。私が目指しているのは、その主体を広げていくことであり、心理的あるいは体感的に主体を拡張する、解放するといったことです。それは、自己意識と宇宙意識を等価にすることであり、意識したことが宇宙になるということを意味します。これは、人類に進化と生存の希望を与えるでしょう。
これからは、皆それぞれの宇宙論を自分で書いてみればいいのです。おそらく、今の科学の普遍性を推し進めていくと、一人一人が宇宙の作り手になるところまで意識を広げていくことになります」
言霊は学問であると同時に、それに思いを巡らせること自体が霊的な実践となっていた。それと同様に、科学を踏まえた上で各自が実感を持てる宇宙論を書いてみることは、創造の担い手としての自己が進化することを意味するのかもしれない。
その考えるためのヒントとして本書では、「対称性の自発的な破れと言霊」「量子場脳理論と言霊」「DNAと言霊」という三つのキーワードに関して大胆な仮説を述べていく。
ただし、以下は少し専門的な科学的解説を含むため、苦手な方は読み飛ばして第4章に進んでいただいてもかまわない。