出版社:文芸社 著者:大野靖志 定価:1,680円
●プロローグ― 言霊によって現実を変える具体的な方法を初公開 ― どうして日本語は美しいのか? ― 言霊(ことだま)は「単なる迷信」ではない ― 西洋的価値観は私たちを幸せにしたか ― 日本― 新しい文明のパラダイムを提示しうる国 ― いにしえの叡智を今に伝える言霊学と伯家神道 ― 階層性と統合性によって知識を整理する ― 本書の使命とその方法論
伯家神道の秘儀継承者・七沢賢治が明かす神話と最先端科学の世界
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日本―新しい文明のパラダイムを提示しうる国
だが、近代のアジアの国々を見れば分かるように、その多くは西洋文明の生んだ資本主義や共産主義に翻弄されて東洋的な根をすでに失ってしまっているか、あるいは、フィリピンや韓国、あるいはマレーシアやインドネシアなどのように、キリスト教やイスラム教といった、「覇道」と深く結びついた外来宗教の影響下におかれているのが実情である。
つまり、近代においてアジアの国々で進行してきたのは、東洋文明と西洋文明との融合ではなく、東洋文明が西洋文明に浸食されていく過程にほかならない。
だが、近代において、東洋文明本来の「神秘」を保ちつつ、西洋的な近代化を果たした国がただ一つ存在する―それは日本だ。
日本は、神性(しんせい)を宿すとされる王制の伝統の下で急速な近代化を実現し、ロシアとの海戦において圧倒的勝利を収めたことで欧米列強からアジアの一等国として認知された。その日露戦争での勝利は、それまでの白人至上主義に大きな精神的打撃を与えることになり、有色人種の国々へは大きな希望を与えたのである。
歴史家のトインビーは、天皇制の伝統を守りつつ外国の優れた文化・技術を大胆に取り入れて急速な近代化を果たした日本の独自性に注目し、この国を西洋と東洋の文化が融合する場として捉えていた。また、国際政治学者のハンチントンは『文明の衝突』(集英社)において日本を独立した文明圏として捉え、次のように述べている。
日本は自国の利益のみを顧慮して行動することもでき、他国と同じ文化を共有することから生ずる義務に縛られることがない。その意味で、日本は他の国々がもちえない行動の自由をほしいままにできる。
日本の文化は独自なものであるのだから、他国との文化的なつながりを気にかけることなく、自由に行動すればいいというのがハンチントンの主張だ。そして、それが叶うのだとすれば、その自由さゆえに、日本こそは新しい文明のパラダイムを世界に提示しうる国ではないかと思われるのである。
では、なぜ日本はそのような独自の文化を確立しえたのか?
その一つの理由は、日本がユーラシア大陸の東端に位置する島国であるという地理的特性にある。奈良の正倉院(しょうそういん)に、朝鮮半島や中国はもちろん、遠くインド、ペルシャ、ローマに由来する宝物(ほうもつ)が収められていることからも分かるように、シルクロードの東の終着駅であった日本には、大陸から渡ってきた文化が博物館のように蓄積されてきた。
さらに、他国の侵略・略奪にほとんどさらされなかったことが幸いして、それらの文化に日本独自の理解や発展を加えながら、保存・継承されてきたのである。
正倉院以前にもそのような渡来文化の蓄積がなされていたのだとすれば、日本には2500年よりも前の文化―「神秘」と「王道」が息づいていたころの文化―が今でも何らかの形で保存・継承されていると考えていいはずだ。
一説に、日本は1万年を超えて埋蔵されてきた豊穣な知的資源を持つ国だといわれる。そして、その知的資源こそが混迷する世界が待ち望む新しいパラダイムを提示しうるといえるだろう。