出版社:文芸社 著者:大野靖志 定価:1,680円
●プロローグ― 言霊によって現実を変える具体的な方法を初公開 ― どうして日本語は美しいのか? ― 言霊(ことだま)は「単なる迷信」ではない ― 西洋的価値観は私たちを幸せにしたか ― 日本― 新しい文明のパラダイムを提示しうる国 ― いにしえの叡智を今に伝える言霊学と伯家神道 ― 階層性と統合性によって知識を整理する ― 本書の使命とその方法論
伯家神道の秘儀継承者・七沢賢治が明かす神話と最先端科学の世界
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新・国生みの模式
七沢氏は、伯家神道の伝える統治の原理の背景に、九階層からなる「創造意志情報」があると説く。
「創造意志情報とは、宇宙創造から、時空間エネルギー、言霊、水、生命、古い時代の祭司育成の原理や体系、アジアにおける伝統的な身体エネルギー体系、生理学的な細胞体系……などの要素を統合した原理をイメージ化したものです。
このような世界像の中で分類された要素を運用して、宗教、哲学、科学が興ってきたと考えてもいいでしょう。それは、日本の古代哲学も例外ではありません。また、それがある段階では王権の原理に応用されました。王は司祭たちの統括者のような形で政治を司る存在であり、天地九界に呼応貫徹してこそ真の王であるとされていたからです。
伯家神道のご修行においては、この九要素の階層がことごとく体感的であり、実感的です。キミ(天皇)に関与する神祇官もまた、天地自然の構成要素と感応して、それを統合することが求められていました」
七沢氏の説明から、「創造意志情報」には時代や国を問わない普遍性が備わっていると考えてよさそうだ。
そして、その全体を現代的な視点で俯瞰(ふかん)すると、21世紀の新たな神話像の素描(そびょう)が見えてくるだろう。
七沢氏はまた、この「創造意志情報」を、クニ(国)とタミ(民)との新たな関係を指し示す「新・国生みの模式」に関連するものと見ている。
ここで、七沢氏の展望する「新・国生みの模式」について説明しよう。
まずは、「クニ」という言葉について。
現代語では国家や故郷がその主な意味となるが、古語においては、土、泥、大地、州、境界などの意味があった。おそらくは、クヒ(杭)、クナト(境界の神の名)などがその語源となっているのだろう。
クニという言葉に関しては、先述の天皇による国見儀礼もその理解の助けとなりそうだ。天皇が高い山に登って国土を眺め渡し、秋の豊穣を前もって祝う言霊を発するこの儀礼には、伊邪那岐神(いざなぎのかみ)と伊邪那美神(いざなみのかみ)による国生み(国土創世譚(そうせいたん))の名残が見られるからである。
中今における創造という観点に立つなら、国生みは太古の昔に起きたことではなく、今この瞬間にも起きており、天地自然と感応しつつ、言霊の力で国生みを行うことこそが、かつての天皇の役目であったといえよう。
以上の理解を踏まえた上で、「新・国生みの模式」に迫ってみる。
次ページに示す国生みの模式図について、七沢氏はこのように解説する。
「上の図で『天地(あめつち)』となっているのは究極の根拠としての宇宙であり、神話にいう高天原にあたります。そして、『古事記』では、その中心に天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)という核があると考えます。
一方、『世(よ)』とは、時間と空間を伴うこの世界のことです。ここに、神聖な原理・機能・力としての『神』と、『魂(たま)』、『人』という三層の働きを重ねると、その左の模式図のようになります」
さらに、七沢氏は続ける。
「そのような構図において、人とはそうした場の働きを折り込んで包み込んだ、階層的な存在ではないかと私は考えます。そして、ここでいう『新・国生み』とは、人を開き、魂が働き、それが神聖な原理としての『創造意志情報』に感応し、世に良き思いが広がり、道が開かれ、天地宇宙の核としての天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)へとつながっていく……そうした業(わざ)であると思われるのです」
そのような国生みは遠い過去ではなく、今この瞬間にも起きている。
そして、それは現在ではキミ(君)の業(わざ)ばかりではなく、万人に開かれた業(わざ)となっているのだ。だからこそ、それは「新・国生み」と呼ばれるのである。