
出版社:文芸社 著者:大野靖志 定価:1,680円

●プロローグ― 言霊によって現実を変える具体的な方法を初公開 ― どうして日本語は美しいのか? ― 言霊(ことだま)は「単なる迷信」ではない ― 西洋的価値観は私たちを幸せにしたか ― 日本― 新しい文明のパラダイムを提示しうる国 ― いにしえの叡智を今に伝える言霊学と伯家神道 ― 階層性と統合性によって知識を整理する ― 本書の使命とその方法論
伯家神道の秘儀継承者・七沢賢治が明かす神話と最先端科学の世界
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「構文の五階層」による言霊エネルギーの活用
「構文の五階層」とは、五段階に分けて文章を構築し、作成した文章を数日間、朝晩数回ほど声に出して読むと、効果を期待できるというものだ。アファーメーションにも似ているが、論理的かつ階層的に文章をつくっていくという点でオリジナリティがある。
ここで例題として、理不尽な理由で上司に叱られているという状況を取り上げてみよう。
最初のステップは「一人称構文」の作成だ。
ここでは、自分の置かれている環境や体感から、自分がどのような心情を持っているのかを記述する。この例題の場合、「まじめに仕事しているのに叱られるなんて腹が立つ!」といった感じになるだろうか。
次のステップは「他人称構文」の作成となる。
ここでは、問題に関係している相手の心情を記述する。相手の気持ちが分からない場合は想像でもかまわない。この例題では、「上司は私の容姿が好きになれないという理由で私に怒りを感じている」としておこう。
三段階目のステップは「複合一人称構文」の作成である。
ここでは、「一人称構文」のところで記述した自分の心情に関して、どのような心情を抱くかということを記述する。ここで着目してほしいのが、これが「一人称構文」から一歩引いた(俯瞰した)視点の記述になることだ。
この例題の場合、「上司から叱られることに腹が立っているが、そんな感情に振り回されるのもうんざりだ」というのがその一例だ。ここに、自分自身を客観視する視点が含まれているのが分かるだろうか。
「第一段階で『私』というものを定義し、第二段階で『他者』のことを定義し、その上で第三段階では、自己と他者との間に生じる矛盾や葛藤(かっとう)、悩み苦しみなどをどう感じるかということを文章構文にしています。
そのような自他の問題は、『私』と『他者』が正しく定義づけられていないことで情緒の乱れが生じているということであり、それを構文を作ることで理解していくのです」
と七沢氏は解説する。
さて、第一〜三段階で状況の整理をつけたところで、第四段階目のステップは「優先構文」の作成となる。
これは、「では、何をなすべきか」ということを考える段階であり、問題となっている状況において自分がどうあるべきかを記述する。
この例題であれば、「不条理な理由で上司に叱られても、私は感情に振り回されないようにしよう」という感じだろうか。もしくは、「上司の愚かさに怒るのではなく、上司を哀れに思うぐらいの心の余裕を持った方がよい」という文章でもいいだろう。
これは、第三段階の俯瞰した視点に基づいて実際にどう行動すべきかを考える段階であり、結果的に、自分が幸せになるにはどうすればいいか、自己の矛盾と他者の矛盾とを超えて本来あるべき自己に戻るにはどうすればいいか、ということの模索となる。
そして、最後の五段階目のステップは「自在(じざい)構文」の作成だ。
ここでは、第一〜四段階での理解を踏まえた上で、人間とは何か、人生とは何か、といった自分なりの理解を文章にする。この例題でいえば、「人生において他者に振り回されて自分を見失うことは愚かなことだ」「理不尽な理由で怒っていることが分かったのだから、そんなことで振り回されるのはもっと愚かなことだ」となるだろうか。
「この『構文の五階層』は、私の五階層の考え方と関係しており、それは哲学の階層としても表現できます。『一人称構文』『他人称構文』『複合一人称構文』は矛盾論であり、『優先構文』は実践論です。ここの矛盾論から実践論への移行の部分が重要な転換点です。そして、『自在構文』は存在論です。
この一連の段階を通して、私と他者、私(わたくし)と公(おおやけ)との問題を客観視したときに、人はどう生きるかという存在論のところが明らかになるでしょう」
その五段階目のステップを終えたところで、一連の構文をうまく合わせて一つの文章にする。これが総仕上げの段階だ。
この例題でいうと、
「まじめに仕事しているのに叱られるなんて腹が立つ。上司は私の容姿が気にくわないという理由で私に怒りを感じているにちがいない。
そのような上司から叱られることに腹が立つが、そんな感情に振り回されるのもうんざりだ。だから、上司の愚かさに怒るのではなく、上司を哀れに思うぐらいの心の余裕を持った方がよい。
そうだ、理不尽な理由で怒ることは愚かなことなのだから、そんなことに振り回されるのはもっと愚かなのだ」
というのがその一例である。
ポイントは、自分のマイナス面を隠すことなく、それを表に出して認めることで次の階層に上がるきっかけを作っている点にある。つまり、階層の内容を確定させるということである。自分から逃げずに、ありのままを客観視することで、臆することなく、自信をもって言葉の表現ができるのである。
これが、いわゆるポジティブシンキングにおけるアファーメーションとは根本的に異なることは明白だろう。
このような構文を自分で作成して唱えることで、新しい現実を創造することができると七沢氏は言う。
言霊(=言語エネルギー)というものを現代的な文脈で理解し、かつその力を体感したい方は、ぜひ、この「構文の五階層」を試してみよう。それはまた、体験的な実学としての言霊学と伯家神道への入り口ともなるはずだ。