出版社:文芸社 著者:大野靖志 定価:1,680円
●プロローグ― 言霊によって現実を変える具体的な方法を初公開 ― どうして日本語は美しいのか? ― 言霊(ことだま)は「単なる迷信」ではない ― 西洋的価値観は私たちを幸せにしたか ― 日本― 新しい文明のパラダイムを提示しうる国 ― いにしえの叡智を今に伝える言霊学と伯家神道 ― 階層性と統合性によって知識を整理する ― 本書の使命とその方法論
伯家神道の秘儀継承者・七沢賢治が明かす神話と最先端科学の世界
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すべてを階層化・統合化するパラダイムとは
さらに七沢賢治氏は、言霊学に見られる五階層の考え方を発展させた九階層の考え方も提唱している。これは母音と半母音とを、「ウ」を共有する形で統合させたものだ。
「これまでの言霊学において、母音アイウエオと半母音ワヰウヱヲとして別々になっていたものを、私が独自に統合して九つにしました。これによって、ギリシャ哲学の四大、仏教の五大、中国の五行や八卦(はっか)といった階層論をうまく統合することができました。また、地球物理学ともかなりのところまで整合性を持つことになりました。
つまり、地球の中心には火があり、その外側には金属の層が。さらに外側には土があり海があり、陸地には木が生えている。さらに地表には風が吹き、空がある。この場合、両端の天と地は概念的な要素として考えます。これが九階層の地・火・金・土・水・木・風・空・天にそれぞれ対応するわけです」
「ウ」を中心として上方へ向けて母音が展開し、下方へ向けて半母音が展開するこの構造は、伊勢神宮の真の御神体といわれる「心(しん)の御柱(みはしら)」の構造と同じものだ。
「心の御柱」とは正宮(しょうぐう)中央に建てられた柱のことだが、梁(はり)に接していないため柱としては何の役にも立たない。つまり、ただ地面に突き刺さっているだけである。
これを、地面から突き出した部分を母音に対応するものとして、地面に埋まっている部分を半母音に対応するものとして考えてみよう。すると、これは「イ」と「ヰ」をつなぐ「イの道=生命」を表すものであると見なされるだろう。
九階層の世界観について、七沢氏はさらに言葉をつなぐ。
「今のこの時代に何か新しいことをやるには、それに見合った新しいパラダイムを提案しないといけない。それが九階層です。そして、それを体感的に実践できるのが、言霊と伯家神道です。これらによって九階層の世界観を体感し、どの階層からも物事にアプローチできるようにならないと、それは新しいパラダイムにはなりえないでしょう。それはまた、南部陽一郎先生の理論をはじめとする最先端の量子力学の考え方にも合致するものだといえます」
七沢氏によると、五階層は物事を階層化するときの枠組みであり、九階層はある種の宇宙観・世界観であるという。母音と半母音が統合されて九階層になるように、五階層は九階層に包含されると考えてもいいだろう。
また、三位一体(さんみいったい)論に見られるような「三」で捉える考え方に関しては、それを三つの位相(いそう)として考えればよく、『古事記』における造化三神や、「ウ」が母音と半母音という二つの方向に分かれたこと、父韻・母音・子音という五十音を構成する三要素にそれが表れているという。
さて、緻密に構成された階層性と統合性が組み込まれた五十音が、ある種のパラダイムとなりうることはこれまでのところで証明された。では、それは具体的にどのような形でこの世界に貢献しうるのだろうか?
「政治問題にしても経済問題にしても、どの階層から物を言っているのかを明確にしないまま議論を進めてしまっているために、結局のところは力の強い者が勝つというパワーゲームに陥ってしまっています。これは民族紛争や宗教戦争の問題に関しても同じことです。このようなパターンを回避するには、物事を階層化した上で統合化する視点が必要でしょう。そして、そのパラダイムとなりうるのが、言霊学における五階層や九階層の考え方なのです」
理学博士の東晃史(ひがしあきふみ)氏も『知の本質』(三五館)の中で、西洋科学の発展には東洋の階層の視点と統合のベクトルを持つことが必要であると述べている。そして、階層構造の捉え方は、西洋流の「ミクロの量子論」を「マクロの量子論」に発展させることだとし、東洋哲学を科学に導入する必要性を説いている。
その意味でも、混迷する現代社会は、言霊学の提示する古くて新しいパラダイムを真摯(しんし)に受け止めていくべきではないだろうか。