出版社:文芸社 著者:大野靖志 定価:1,680円
●プロローグ― 言霊によって現実を変える具体的な方法を初公開 ― どうして日本語は美しいのか? ― 言霊(ことだま)は「単なる迷信」ではない ― 西洋的価値観は私たちを幸せにしたか ― 日本― 新しい文明のパラダイムを提示しうる国 ― いにしえの叡智を今に伝える言霊学と伯家神道 ― 階層性と統合性によって知識を整理する ― 本書の使命とその方法論
伯家神道の秘儀継承者・七沢賢治が明かす神話と最先端科学の世界
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言霊で読み解く『古事記』
言霊学では『古事記』、中でもその創世神話の箇所の解釈を重視する。
人類史において宗教に先行して発生した神話は、決して「ただのお話」などではなく、その民族の文化・精神性・祭祀などに裏付けられた叡智の結晶であるといえよう。『古事記』でいえば、それに接することは、1万年を超えて「古層和語圏」にアクセスすることにも等しい。
だが、神話の多くは、現代になじみのない表現と荒唐無稽(こうとうむけい)とも思える内容がハードルとなり、どう読み解けばいいかという点で読む者を悩ませてきた。
『古事記』についてもそれは同様であり、何か大切なことが語られているようでいて、その「何か」に関しては皆目見当がつかないと感じている者が多いはずだ。つまり、普通に読むなら、これは「ただの物語」でしかない。
先述の能澤壽彦氏はそうなった原因を、神話の内容が文章の形で記述されたことで、祭祀や儀礼の実践とのつながりを失ったことに求めている。神話を読む者の想像力が届きにくく、また基軸(きじく)や芯の見えにくいありように変質してしまったのはそのためだというのだ。それはさらに、祭祀や儀礼から神話性の持つ命や力をそぎ取り、形式化し、無力化していくことにもつながったという。
だが、能澤氏はこうも言う。
「それにもかかわらず、昨今の文明大画期(だいかっき)を要請される時代に、神話は宗教以上に有力な切り札であり得ます。神話力が深く解明されれば、その知の可能性は巨大です」
では、氏の言う「神話力」―この場合『古事記』の持つ命や力―を深く解明するにはどうすればいいか?
ここで言霊学の出番となる。日本語の深層を開示せんとする言霊学は、『古事記』へ息吹(いぶき)を吹き込み、その命をよみがえらせることに成功したのだ。
七沢氏は『古事記』に関して、それが言霊の奥義を記したある種の暗号文書のようなものであるとしている。
「『古事記』は成立直後から意図的に隠されたのではないでしょうか。『古事記を釈(と)く者は死す』という詛(のろ)い言(ごと)があったのはそのためでしょう。おそらく、『古事記』の中に折り込まれた神話の知や儀礼の力が読み出されて利用されるのを恐れたからだったと思います。
そして端的にいうと、『古事記』に隠されたのは、言葉が神であるというメッセージではないでしょうか。言葉が神だということを実感した古代の人々が、そのことを五十音に並べ、それを残すために『古事記』に編み込んだと私は考えています」
『古事記』の秘密が言霊によって開示されるのか?
それとも、言霊の秘密が『古事記』によって開示されるのか?
いずれにせよ、言霊と『古事記』が表裏(ひょうり)一体のものだとすれば、その違いはそう大きなものではない。